山のコラム

縦走中の出来事

南沼テント指定地での停滞

大雪山の縦走では低気圧の影響で停滞したことがある。夜が近づくにつれて強烈な風と雨が叩きつけ小沢からあふれた水がテントに染みこみ、大切なシュラフまでも濡らしてしまった。湿っているため体温も奪われ「果たして助かるのか」と万が一のことも考えた。夜が明けるのを待って急場しのぎでテントを移動して安全確保したがその日も一日中風雨が続き、堪え難い恐怖と向き合った。

あやうく低体温症で救援

その日は朝てっかりでオプタテシケ山を越えたときには風が吹き荒れて、稜線上では木陰になるところもなく急ぎ足で美瑛富士避難小屋へ向かった。昼過ぎには深い霧となって次第に雨がちらつきみぞれも混じっていた。三川台の天場で汲んだという水を分けていただきコンロで暖をとっていると、全身ずぶ濡れの3人パーティーが現れた。場所をあけて迎えようとしたときに女性が気を失い支えられた。やばい、気が尽きてしまったようだ。宿泊者総出でコンロに火を灯し、あたたかいものを急に口をつけて、ショックを与えてはいけないので、ぬるま湯を口元に差し出し、着替えは手伝いをえながら行い、正気になるまではかなり時間を要した。山形大学の学生パーティーが気前よく大鍋で拵えたおしるこを振る舞い、荒れ狂う天気で寒々した室内はあったが、心の中はとてもあたたかくなった。